Table of Contents
網膜・硝子体
月曜日から金曜日の午前に専門外来を行っており、糖尿病網膜症、裂孔原性網膜剥離、加齢黄斑変性、網膜血管閉塞疾患、黄斑円孔、黄斑上膜などの診断、治療を行っています。
糖尿病網膜症は、血糖のコントロ-ルが不良で、罹病期間が長くなるほど眼合併症の発症してくる危険性が高くなります。自覚症状がなくても、水面下で網膜症が進行し、硝子体出血や網膜剥離等の重篤な合併症を引き起こして初めて気づくケ-スもありますので、内科で糖尿病の治療を受けるのと同時に、眼科での定期的な検診が非常に重要です。治療としては光凝固療法に加えて、増殖性変化や硝子体出血を来たした時には硝子体手術が、黄斑浮腫を来たした時には抗VEGF薬やステロイドを用いた治療が必要になります。
加齢黄斑変性は、生活様式の欧米化や人口の高齢化に伴い増加傾向にある疾患です。網膜の中心部である黄斑部が侵されることにより視力が著しく損なわれ、中途失明の原因疾患として注目が高まっています。当院では、蛍光眼底造影に加えて、高解像度の共焦点走査型レーザー検眼鏡や眼底自発蛍光撮影を駆使し、また光干渉断層計(OCT)を用いて病変を立体的に描出することで、診断・治療効果の判定に役立てています。治療に関しては、抗VEGF薬を用いた治療や光線力学療法、あるいはこれらの併用療法を選択して行っています。
網膜血管閉塞疾患は、閉塞した血管の種類と部位によって、網膜中心動脈閉塞症、網膜動脈分枝閉塞症、網膜中心静脈閉塞症、網膜静脈分枝閉塞症に大きく分類されます。そのうち動脈系の閉塞に対しては、早急な血流再開と酸素の供給をめざして、眼球マッサージや眼圧下降治療、抗凝固療法などを行います。静脈系の閉塞に対しては、抗VEGF薬を用いた治療や光凝固治療を行っています。増殖性変化や硝子体出血を来した時には、硝子体手術を行っています。
当院では、様々な網膜硝子体疾患に対する硝子体手術を代表とした治療実績があり、現在も習熟した網膜硝子体術者が複数常勤しており、網膜剥離等の緊急疾患に対しても迅速な施術を行っております。
大学病院を受診される際には、まず近くの総合病院や開業医の診察を受け、大学病院での専門的な治療が必要かどうか判断してもらった上で、紹介していただいて下さい。
角膜
角膜は、目の一番表面で中央にある「黒目」と呼ばれる部分です。厚さ約0.5ミリの、透明で前に突出した球面です。虹彩(こうさい:茶色目)と黒い瞳が透けて見えて「黒目」と呼ばれます。角膜は、外部から目に入ってくる光を最初に通す、ドーム状の窓ですので、角膜が濁ったり、きれいな球面ではなくなったりすると、目に入る情報に乱れが生じ、「視力低下」「かすみ目」「ものがだぶって見える」など様々な不都合が生じます。 徳島大学角膜グループは、「いかにきれいな角膜を長く保つか」「悪くなった角膜をいかにきれいにするか」をテーマに、診療・研究・後進の教育に日々邁進しています。
「角膜の病気」「黒目に異常がある」と言われたかたは、紹介状を御持参のうえ徳島大学角膜外来にお越し下さい。事前に地域医療連携センターFAX予約室を通じて予約をしていただくことをお薦めします。
1)角膜移植について
角膜移植を実施しています。
中四国・近畿を中心に、県内外の多くの患者さまに角膜移植医療を提供してきました。少しでも良い視覚情報を提供できるように努力しています。
2)ドライアイ
新たな治療法の開発に取り組んでいます。
ドライアイの症状は多種多様です。夕方頃から何とも言えない目の不快感がある時など、ドライアイの症状であることがあります。市販の点眼薬では十分な効果 が得られていない方に、自己血清点眼、涙点プラグ、涙点閉鎖術、および新たな内服治療など、幅広い治療の選択肢で、患者さまのご要望にお応えします。
ぶどう膜炎
ぶどう膜炎とは、ぶどう膜(虹彩、毛様体、脈絡膜)に炎症が生じる疾患の総称です。ぶどう膜は血流が豊富な組織のため、自己免疫疾患や感染などのさまざまな原因により炎症が生じやすいとされています。
当院眼科では、ベーチェット病、サルコイドーシス、原田病を代表とするぶどう膜炎の診断、治療を行っています。ぶどう膜炎にも種類があり、ベーチェット病やサルコイドーシスのような全身症状を伴うぶどう膜炎や、急性網膜壊死やヘルペス性虹彩炎のような眼局所の感染性のぶどう膜炎、また原因不明のぶどう膜炎も多く存在します。当科では視力検査や眼圧測定、眼底検査といった眼科の一般的な検査だけでなく、眼内液のPCR検査、サイトカイン検査、また血液検査やレントゲン、CTなどの画像検査からも診断を行っています。治療は診断にあわせ、ステロイド薬、抗菌薬、免疫抑制剤を使用しています。白内障、緑内障、硝子体混濁といった合併症を生じた場合には、点眼や内服の治療だけでなく、手術治療も他の専門外来と協力して行っています。また、当院の内科とも協力し、診断や治療を行っています。
眼瞼、眼窩、涙道
まぶた(眼瞼)や目のまわり(眼窩)、涙道の診療を行っています。
- 眼瞼内反、睫毛内反(逆まつげ)、眼瞼下垂 (まぶたが下がっている状態)などの手術治療を行っています。
- 眼窩の腫瘍や骨折を治療しています。
- 涙は眼の表面を潤した後、鼻へ流れますが、その通路である涙道の閉塞があると、流涙や涙囊炎を起こします。それらに対し、鼻涙管閉塞開放術、シリコンチューブ留置術、涙嚢鼻腔吻合術などを行っています。涙道閉塞の治療に関しては、院内広報誌の掲載記事を参照ください。
斜視弱視
斜視弱視外来ではおもに斜視・弱視や小児の発達に伴う眼の病気などを診療しています。
斜視とは両眼の視線が揃わない眼の位置の異常です。小児から大人までさまざまな原因で斜視になることがあります。斜視では複視や眼精疲労の症状があったり、両眼視機能や整容の問題があったりします。原因に応じて屈折矯正(眼鏡処方)、プリズム処方、ボトックス治療、手術などの斜視治療を行います
弱視とは何らかの原因により視力の発達が障害され、矯正しても視力がでない状態です。視機能は生まれてからものをはっきり見ることで成長します。視覚の感受性期は限られており、生後1ヶ月から徐々に発達し、1歳半くらいをピークとして、8歳くらいで終了します。視覚の感受性期中に適切な治療を完了することが重要です。弱視の原因をさぐり、原因に応じて眼鏡装用、アイパッチでの片眼遮蔽などの弱視治療を行っています。
当院では熟練した視能訓練士が各種検査を行い、眼科専門医と連携して視能訓練・指導などにあたっています。また、斜視や弱視の他にも未熟児網膜症や先天性白内障、網膜芽細胞腫など小児の眼疾患についても診療を行っています。
緑内障
緑内障では、目の神経(視神経)が傷んで視野が狭くなります。病気が初期のころは自覚症状がないので進行するまで気がつかないことがありますが、進行すると失明する恐れもあります。日本人では40歳以上の17人に1人が緑内障であり、緑内障は成人の失明原因の第1位です。病気の進行によって障害された視野を回復させることは難しいため、いかに早期に発見し治療を開始するかが失明を回避する上で非常に重要です。
緑内障外来では、眼圧や眼底検査、視野検査を定期的に行い、緑内障の進行を把握することができます。
緑内障の治療は、眼圧を下降させることで緑内障の悪化を遅らせることを期待します。まずは眼圧を下げる点眼薬で治療を開始します。様々な点眼薬を使用しているにもかかわらず緑内障の進行が早い方に対しては、手術治療を選択することがあります。
当院で行っている緑内障治療
・線維柱帯切開術(眼外法/眼内法)
・線維柱帯切除術
・緑内障インプラント挿入術
・隅角癒着解離術
などを行っています。
出典:参天製薬株式会社 緑内障小冊子
網膜色素変性
網膜色素変性や他のジストロフィの診断、黄斑浮腫などの合併症に対する治療、ロービジョンケアを行っています。
網膜色素変性及びその類縁疾患を有する患者の登録を集積し、遺伝性網膜疾患の病態解明や新しい治療法の開発や確立に貢献する研究基盤を構築する目的で行われている「日本網膜色素変性レジストリプロジェクト」にも参加しています。
ロービジョン
ロービジョン外来
見えにくさを感じている方に対し、治療ではなく有用な補装具(ルーペ、遮光眼鏡など)や生活でできる工夫(見えにくい方のために開発されたグッズの紹介)、各種福祉サービスの紹介(障害者手帳取得、同行支援の紹介)などを行い生活の質の向上を目指す外来です。
完全予約制にて時間をかけて困りごとを聞き取り必要な対策をともに考えます。
視覚認知外来
視力や視野に問題が無いのに見えにくそうにしている方は視覚認知に問題がある可能性があります。発達障害などがあり読み書きに問題がある方、眼球運動のコントロールに苦手さを感じている方などを対象に、両眼視機能検査や視覚認知検査を行い、見えにくさを感じる原因や対策を検討します。
完全予約制にて時間をかけて困りごとを聞き取り検査を行い、必要な対策を検討し支援につなげます。